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オリジナル小説サイト『空中都市』の管理人ブログ。 近況やらたまの創作やら日々やらを綴ります。
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 否定した。笑い話にして否定したが、それがいけなかったのだろうか。だがあの時、桃水からすればあれは本当に冗談のようなものだった。何をどうしたらそのような面白可笑しな話になるであろうと、今ですら思える。
「おれは出版に反対したよ、おれに都合の悪いこともあるからさ」
 緑雨は相変わらず、何を考えているのかわからない。
「だが此れは、絶対、世に出る。孤蝶がやるのだ、もう出るしかない代物だろう」
「君は……それで良いのか」
「孤蝶が云うのだ、もう諦めている」
 また、得意そうな顔をして笑う。
「本当に、良いのか」
「目出度く死ねるさ」
「斎藤」
「おれも死ねる──」
 青白い顔に最後の笑顔を灯して、彼は笑った。どうして皆、先に逝くのであろう。これまでに幾度となく危険な目に遭った。少なくとも、小説とはなんぞやと机上で論じ合っている輩とは違い、自分は目の前で戦火を潜り抜けて、そうして描いて来たのだ。
 どうして自分は、一人、生きているのだろうか。


学生の時のノートにこんな文章を見つける。「斎藤」とあったのでてっきり斎藤先生のことかと思えば(こっちもひそかに書いている)、斎藤緑雨の方でした。良いですよねぇ緑雨。『緑雨警語』は未だ愛読書です。いつもゼミでのテンションを上げるために読んでいました。久々に読みたくなって部屋を漁りましたが、置いてあると信じていた場所にない。と云うことは、隙間本棚隊ではなく、床積み上げ隊に出張しているのだと思ったが、この暑さで探す気になれず断念。所詮そんなものですか。

隙間本棚隊、床積み上げ隊、さりげなく使ったら微妙に気に入りました(笑)本棚1軍、本棚2軍とかで呼び方を考えましょうか(どうでも良い)プチ図書館になっているので、友人がよく借りに来たり読みに来たりするのですが、場所が説明できないのでこの呼び方で「その本は本棚3軍にあります!!」

……って、きっとこの莫迦に付き合ってはくれないでしょう(笑)

桃水と緑雨はきっとなんだかんだ云いつつ仲が良かったのではないかという、私の妄想から一つの小話でした。一葉の死後、彼女の日記が出版される云々で桃水を訪れた緑雨という妄想場面。時代を扱うものは、たとえフィクションであろうと、それがおもしろかったら良いですよねぇ。

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