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オリジナル小説サイト『空中都市』の管理人ブログ。 近況やらたまの創作やら日々やらを綴ります。
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 少し旧いことを思い出した。
 俺が大学に行くと、そこにはどうやら吹っ切れたらしい顔をした猶雅の姿があった。前までの長ったらしい髪が切られ、色は黒く戻されていた。容姿から変えるとは典型的なやり方だと思ったが、それで彼がやり直しできるのならまあ良いかとも思った。
「猶雅」
 俺が呼ぶと彼は意外にもすぐに振り返った。手には数冊の本を抱えていて、忙しそうだった。俺は高卒止まりだから詳しいことは知らないが、休んだ一年は痛いのだろう。学生でもないのにしょっちゅう大学の図書館に行っては、忙しそうに走り回る四回生を見ていた。
「誓、どうしてここに?」
 怪訝な顔をして尋ねる彼には、本当に驚かされた。別人になったかのように、以前の面影がまったくないのだ。少々面喰らいながらも、冷静な振りをしてみる。
「そりゃもちろん、おまえに会いに来たんだよ」
「ああ、ごめん。僕も誓に用があったんだけど、なかなか時間取れなくて」
 そこで突然居住まいを正したかと思うと
「正式に亜創猶雅になりました」
 と俺に向かって軽く礼をした。大学のど真ん中でこんなことをされるとは思わないから、正直驚いてばかりだった。
「へえ、大丈夫だったんだ?」
「うん、事情を簡単に話したら、案外簡単にオーケーをもらえたよ」
「事情って全部話したのか?」
 あそこまで塞ぎ込んでいた奴がしれっと云うので、俺はまた驚いた。内心では何回驚かせれば気が済むのかと、悔しい気持ちがあったのも事実だった。俺も変わったつもりだったが、それ以上に変化を遂げたのはこいつだ。悔しい。
「一通りは。本当はそんなこともないけど、周囲が煩いからって云ったら結構簡単に通してくれて、猶さんの名前も入れてもらったんだ」
 図書館へと向かう猶雅に向かって、俺は半分厭味のつもりで云ってやった。
「じゃあ、さようなら。──君」
 あれからもう、二十六年が過ぎた。

・・・・・

某サイトにて、痲時の例の「総合」についてお話が出たので、久しぶりにファイルをひっくり返してみました。Mac時代だったので開かないファイルがあったり、切れている話があったり、ごちゃごちゃしていますが、あの時の私にとって、一番のめり込んだお話なので、いい加減でも思い入れがありますねー。

ってことで、そういえばいつしか……と云って放置していた最後のまとめ、「総合」より一つの小話を載せてみる。うーん、懐かしい。

「最後の裁判」は以前このサイトの懐かしき「真骨頂世界」にて、ぼそぼそ乗っけておりましたが、きちんとした話として前面には出したことがないですね。あれも痲時の総称する「総合」引いては神守誓へと繋がる物語です。

たぶん忘れられているのもあるでしょうが、
「最後の裁判」「神妖伝説」「Staff」「橘稔葵の手記」「嘉枝侑士の手記」「神守誓の手記」の六つ。……あれ、こうしてみると、聖也だけ手記がないことになってしまいますねぇ。まぁ「最後の裁判」があるから良いんだけど(笑)

いつか書けたら良いなと、突然思い出したのは、きっと触発されて来た数々のシリーズミステリが終わりを迎えているからなのでしょう。最近では、篠田さんの建築探偵が一番の引き金かもしれません。

いつしかここに神守誓が現れたら、それはそれで面倒くさそうですが、楽しいかもしれません。

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オリジナル小説サイト空中都市にて、ファンタジーやら何やら書いています。
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